病院で亡くなったら?逝去直後の流れと手続きを解説
大切なご家族が病院で息を引き取られたとき、深い悲しみのなかでも、やるべきことが次々と押し寄せてきます。 「まず何をすればいい?」「どこに連絡すればいい?」と、頭が真っ白になってしまうのは、決して珍しいことではありません。
厚生労働省の統計によると、現在日本では亡くなる方の約7〜8割が病院で最期を迎えています。 つまり、多くの家族が同じ状況に直面しているということです。
この記事では、病院で亡くなった直後から葬儀の準備・行政手続きに至るまでの流れを、時系列に沿ってわかりやすく解説します。 事前に全体の流れを把握しておくことで、いざというときに落ち着いて行動できるようになります。 ぜひ最後まで読み進めてください。
病院での死亡確認から退院までの流れ

病院でご家族が亡くなると、その後の流れは病院側のサポートを受けながら進んでいきます。 とはいえ、遺族として理解しておくべきことが複数あります。 まずは、臨終から病院を出るまでの一連の流れを確認しましょう。
全体の流れを表にまとめると、以下のとおりです。
| 順番 | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1 | 医師による死亡確認・宣告 | 数分 |
| 2 | 家族とのお別れの時間 | 30分〜1時間程度 |
| 3 | 末期の水の儀式 | 10〜20分 |
| 4 | エンゼルケア(遺体処置) | 30分〜1時間 |
| 5 | 霊安室への移動 | 数分 |
| 6 | 葬儀社への連絡・搬送手配 | 随時 |
| 7 | 死亡診断書の受け取り・退院手続き | 30分〜1時間 |
医師による死亡確認
ご家族が息を引き取ると、まず担当医師が「死の三徴候」を確認し、正式に死亡を宣告します。 死の三徴候とは、「心拍の停止」「呼吸の停止」「瞳孔の散大と対光反射の消失」の3つです。 法律上、死亡を確認・宣告できるのは医師のみと定められているため、家族がどれだけ明らかだと感じても、必ず医師の確認が必要です。
死亡確認後、医師は死亡時刻を遺族に告げ、「死亡診断書」の作成に取りかかります。 病気による死亡であれば「死亡診断書」が発行されますが、事故や突然死など死因が不明な場合は警察が介入し、「死体検案書」が作成されることもあります。 どちらの書類も、その後の手続きに欠かせない重要な公文書です。
家族とのお別れの時間
死亡確認の後、病院によっては遺族が病室でゆっくりとお別れの時間を過ごせるよう配慮してくれます。 この時間は、「最後に顔を見て話しかける」「手を握る」「涙を流す」など、それぞれの形で故人と向き合う大切な時間です。
慌てて次の手続きに移ろうとする必要はありません。 ただし、病院の状況や病室の空き具合によって、この時間には限りがあることも事実です。 看護師や病院スタッフに時間の目安を確認しながら、悔いのないお別れの時間を持つようにしましょう。
この間に、その場にいない近親者への連絡を始めることも大切です。 遠方の家族や、最後に会わせたいと思う人がいれば、早めに連絡を入れましょう。
末期の水の儀式
「末期の水(まつごのみず)」は、故人の唇を水で潤す日本古来の仏教的な儀礼です。 「死に水を取る」という言葉で聞いたことがある方も多いでしょう。
本来は息を引き取る直前に行うものでしたが、現代では臨終の直後に行うことが一般的です。 用意するものは、茶碗に入れた水・新しいガーゼや脱脂綿・割り箸(または筆)です。 脱脂綿を割り箸に挟んで水を含ませ、故人の唇をそっと湿らせます。
血縁の近い方から順番に、その場にいる全員が行うのが一般的な作法です。 宗派によっては末期の水を行わないこともあるため、不安な場合は病院のスタッフや菩提寺に確認するとよいでしょう。
エンゼルケア(遺体処置)
末期の水が終わると、看護師などの医療スタッフが「エンゼルケア」を行います。 エンゼルケアとは、故人の遺体を清め、安らかな旅立ちにふさわしい姿に整える死後処置のことです。
具体的には以下の処置が行われます。
- 全身の清拭(お湯やアルコールで丁寧に拭く)
- 口・耳・鼻・肛門への脱脂綿の詰め物(体液の流出を防ぐため)
- 医療器具(点滴・チューブ類)の取り外し
- 着替え(死装束または故人の愛用した衣服)
- 髪・髭を整え、必要に応じて死に化粧
所要時間は30分〜1時間程度が目安です。 遺族は立ち会うことができ、希望すれば一部を手伝うことも可能です。 最近では、エンゼルケアの技術向上に力を入れる病院も増えており、より丁寧なケアが行われるようになっています。
霊安室への移動
エンゼルケアが完了すると、遺体は病室から病院内の霊安室(れいあんしつ)へと移動されます。 霊安室とは、搬送までの短時間、遺体を一時的に安置するための専用スペースです。
ここで注意したいのは、霊安室での安置は数時間程度しか認められていないという点です。 「今夜はゆっくりここに置かせてほしい」と希望しても、病院の運営上、長期安置には対応できません。 そのため、遺族はこの短い時間のうちに搬送先と葬儀社を決定する必要があります。
なお、霊安室と「安置室」は別物です。
| 名称 | 場所 | 目的 | 滞在期間 |
|---|---|---|---|
| 霊安室 | 病院内 | 搬送までの一時安置 | 数時間(短期) |
| 安置室 | 葬儀社・斎場内 | 葬儀・火葬までの安置 | 数日間(中期) |
病院で受け取る重要書類

病院を出る前に必ず受け取らなければならない書類があります。 それが「死亡診断書」です。 この書類がなければ、その後のすべての手続きが止まってしまうといっても過言ではありません。
死亡診断書の受け取り方
死亡診断書は、臨終に立ち会った医師が作成する法的な公文書です。 死亡が確認された後、医師が書類を作成し次第、遺族に手渡されます。 受け取る際は、必ず以下の項目に誤りがないかを確認してください。
- 故人の氏名・生年月日
- 死亡日時・死亡場所
- 死因の記載内容
記載ミスがあった場合は、その場で医師に修正を依頼します。 退院後に気づいた場合は病院に連絡して対応してもらいましょう。 書類に不備があると、役所への提出や保険の請求手続きが滞る原因になります。
なお、死亡診断書と死亡届はA3サイズ1枚の用紙で一体になっており、右半分が死亡診断書(医師が記入)、左半分が死亡届(遺族が記入)となっています。 発行費用は病院によって異なりますが、1通あたり3,000〜10,000円程度が相場です。
死亡診断書のコピーを複数取る理由
死亡診断書の原本は、死亡届と合わせて役所に提出すると返却されません。 そのため、役所に提出する前に、必ずコピーを複数枚取っておくことが重要です。
死亡診断書(またはそのコピー)が必要になる主な手続きは以下のとおりです。
| 手続きの種類 | コピーの必要性 |
|---|---|
| 役所への死亡届(原本) | 原本1枚 |
| 生命保険・損害保険の請求 | コピー1〜2枚(各社) |
| 年金受給の停止手続き | コピー1枚 |
| 健康保険の資格喪失手続き | コピー1枚 |
| 銀行口座の解約・名義変更 | コピー1枚 |
| 相続手続き | コピー1〜2枚 |
最低でも5〜10枚のコピーを用意しておくと安心です。 コピーは病院内のコピー機を使って行うか、原本を持ち帰ったうえでコンビニ等でコピーしましょう。
紛失した場合の再発行手続き
万が一、死亡診断書を紛失してしまった場合でも、発行元の病院に依頼すれば再発行が可能です。 再発行は、原則として配偶者または3親等以内の親族が申請できます。 それ以外の方が申請する場合は、委任状が必要になります。
再発行にかかる費用は病院によって異なりますが、3,000円〜数万円程度が目安です。 また、再発行の申請をしても即日発行されるとは限らないため、余裕をもって依頼することをおすすめします。
一方、遺族年金の請求や簡易保険の手続きなど一部の用途では、病院での再発行を経ずに、市区町村の役所または法務局で「死亡届記載事項証明書」を取得することで代替できます。 この証明書は無料または1通350円程度と安価なため、用途によって使い分けると効率的です。
大切な書類ですので、受け取ったらすぐにコピーを取り、原本とコピーを別々に保管することを強くおすすめします。
遺族がすぐに行う連絡と手配

病院内での手続きと並行して、遺族がすぐに行わなければならないのが「連絡」です。 誰に・いつ・どのように連絡するかを把握しておくことで、混乱を最小限に抑えられます。
近親者・親族への連絡
死亡が確認されたら、まず三親等以内の近親者・親族に訃報を伝えます。 連絡の手段は原則として電話が基本です。 メールやSNSは後の補足連絡として使うのがマナーとされています。
連絡の際に伝える内容は以下のとおりです。
- 故人の氏名
- 亡くなった日時と場所(病院名)
- 自分の氏名と連絡先
- 「葬儀の日程は追ってご連絡します」という旨
この段階では葬儀の日時・場所が決まっていないのが普通です。 無理に情報をそろえようとせず、「亡くなった事実」をまず伝えることを優先しましょう。 遠方の方には移動時間を考慮して、できるだけ早く連絡を入れることが大切です。
葬儀社の決定と連絡
訃報の連絡と同時進行で進めたいのが、葬儀社への連絡です。 霊安室での安置時間は限られているため、できるだけ早く葬儀社を決定して搬送を依頼する必要があります。
葬儀社が決まっている場合
事前に葬儀社を決めていた場合は、すぐにその会社に連絡を入れましょう。 連絡の際に伝える情報は以下のとおりです。
- 病院の名称と住所
- 故人の氏名
- 搬送先(自宅・葬儀社施設など)
- 迎えに来てほしい時間の目安
葬儀社は24時間365日対応しているところがほとんどです。 「深夜だから連絡しにくい」と遠慮する必要はありません。
葬儀社が決まっていない場合
事前に葬儀社を決めていなかった場合、その場で選ばなければならないため、焦りを感じる方も多いでしょう。 病院から葬儀社を紹介してもらうことも可能ですが、必ずしも病院紹介の葬儀社に依頼する義務はありません(詳しくは後述します)。
時間に余裕があれば、インターネットで検索したり、葬儀社の紹介サービスを活用したりするのもひとつの方法です。 ただし、まず急ぎで搬送だけを依頼し、安置が完了してから落ち着いて葬儀社を選び直す方法もあります。
菩提寺への連絡
菩提寺(ぼだいじ)とは、先祖代々のお墓がある寺院のことです。 菩提寺がある場合は、遺体の安置が整い次第、できるだけ早く住職に連絡を入れましょう。
連絡の際に確認する主な内容は以下のとおりです。
- 「枕経(まくらきょう)」を読んでいただけるか
- 葬儀・告別式の日程の都合
- 戒名の授与について
葬儀の日程は、火葬場の空き状況と菩提寺の都合の両方を合わせて決める必要があります。 どちらかを後回しにすると日程調整が難航することがあるため、菩提寺への連絡は早ければ早いほどよいと覚えておきましょう。
勤務先・学校への連絡(忌引き)
近親者への連絡が済んだら、喪主や遺族の勤務先・学校への連絡も忘れずに行いましょう。 忌引き休暇の取得が必要になるためです。
忌引き休暇の日数は、故人との続柄によって異なります。 一般的な目安は以下のとおりです。
| 続柄 | 忌引き日数の目安 |
|---|---|
| 配偶者 | 10日間 |
| 父母 | 7日間 |
| 子 | 5日間 |
| 兄弟姉妹 | 3日間 |
| 祖父母 | 3日間 |
| 配偶者の父母 | 3日間 |
※会社・学校によって規定が異なります。必ず就業規則や学則を確認してください。
連絡は口頭または電話で行い、メールはその後の補足として使うのが一般的です。 葬儀の日程が決まっている場合は合わせて伝え、忌引き証明が必要な場合は葬儀後に発行してもらえる旨を葬儀社に伝えておくとスムーズです。
遺体搬送と安置場所の決定

病院の霊安室での安置時間は非常に限られています。 そのため、遺体をどこに搬送するかを早急に決定しなければなりません。 安置場所にはいくつかの選択肢があり、それぞれに特徴があります。
安置場所の選択肢
自宅での安置
自宅は、故人が住み慣れた場所で最後のときを過ごせるという点で、多くの遺族が希望する安置場所です。 遺族がいつでも面会でき、手を合わせたり、語りかけたりする時間を自由に持てます。
ただし、以下の点を事前に確認・準備する必要があります。
- 遺体を安置できるスペース(仏間・和室など)があるか
- マンションの場合、管理規約で遺体の搬入が制限されていないか
- 夏場は室温管理(エアコン使用・ドライアイス)が必要
和室や仏間がある場合は比較的スムーズですが、洋室のみの住宅でも布団を敷いて安置できます。 頭を北または西に向ける「北枕・西枕」が一般的な作法です。
葬儀社の安置施設
葬儀社が運営する安置室を利用する方法です。 温度管理が行き届いており、ドライアイスの補充なども葬儀社のスタッフが行ってくれるため、遺族の負担が少ない点が特徴です。
面会時間に制限がある施設もありますが、多くの場合、事前に連絡すれば時間外でも対応してもらえます。 自宅への安置が難しい方や、住環境の都合がある方にとって心強い選択肢です。
民間の安置所
葬儀社とは別の、民間が運営する遺体安置専門施設を利用する方法もあります。 この選択肢は、搬送のみを一時的に依頼し、葬儀社を改めて選び直したい場合に有効です。
費用は1日あたり数千〜数万円と施設によって幅があります。 ただし、施設の品質にばらつきがあるため、事前にインターネットの口コミや評判を確認してから選ぶことをおすすめします。
搬送の依頼と寝台車の手配
安置場所が決まったら、葬儀社に搬送を依頼し、寝台車を手配してもらいます。 葬儀社に連絡すると、スタッフが寝台車で病院まで迎えに来てくれます。
病院からの搬送は、他の入院患者への配慮から、正面玄関ではなく職員用や裏手の出入り口が使われるのが一般的です。 遺族は、寝台車に同乗するか、自家用車で後を追って安置場所に向かいます。 この際、死亡診断書を必ず携帯してください。
搬送にかかる費用の目安
遺体搬送の費用は、搬送距離によって異なります。 一般的な目安は以下のとおりです。
| 搬送距離 | 費用の目安 |
|---|---|
| 10kmまで | 15,000〜25,000円程度 |
| 10〜30km | 25,000〜40,000円程度 |
| 30〜50km | 40,000〜60,000円程度 |
| 50km以上 | 距離に応じて加算 |
※深夜・早朝は割増料金が発生する場合があります(後述)。 見積もりを事前に確認し、追加費用の有無を葬儀社に確認しておくと安心です。
自家用車での搬送が推奨されない理由
「大切な家族だから、自分の手で運んであげたい」と考える方もいるかもしれません。 しかし、自家用車での遺体搬送は、いくつかの理由から推奨されていません。
まず法律上の問題があります。 金銭を受け取って遺体を搬送する行為は「貨物自動車運送事業法」により、国土交通省の許可を受けた緑ナンバーの霊柩車・寝台車でなければ行えません。 家族が自家用車で搬送すること自体は直ちに違法ではありませんが、万が一、警察の職務質問を受けた場合、状況によっては「死体遺棄」の疑いをかけられるリスクがゼロではありません。
また、遺体の状態を適切に保つための専門的な知識・設備が必要である点も大きな理由です。 搬送中に遺体を傷つけてしまう可能性もあり、遺族の精神的な負担も非常に大きくなります。 特別な事情がない限り、必ず専門の葬儀社に搬送を依頼しましょう。
病院での精算と退院手続き

遺体の搬送手配が済んだら、病院での精算と退院手続きも忘れずに行う必要があります。 葬儀の準備に気をとられがちですが、病院側への対応も丁寧に進めましょう。
入院費・医療費の支払いタイミング
亡くなった後の入院費の精算は、当日中に行う病院もあれば、後日改めて請求書を送付する病院もあります。 まず、看護師やスタッフに精算のタイミングと方法を確認しましょう。
支払い方法は現金のほか、クレジットカードが使える病院も増えています。 高額な入院費になっている場合は、後述する「高額療養費制度」の払い戻しを活用できる可能性があるため、領収書は必ず保管してください。
また、入院時に保証金や預かり金を支払っていた場合は、返金があるかどうか確認することも大切です。 うっかり確認を忘れてしまうケースが少なくないため、注意しましょう。
故人の荷物の引き取り
入院中に使用していた荷物を病室から引き取ります。 衣類・日用品・貴重品(財布・携帯電話・通帳・印鑑など)を漏れなく確認しましょう。
忘れ物がないよう、引き取りのリストを作っておくと便利です。 大きな荷物がある場合は、搬送に来た葬儀社のスタッフに手伝ってもらえることもあります。
また、故人が個室を使用していた場合は、部屋の清掃・点検が必要な場合もあるため、病院スタッフに確認しましょう。
病院スタッフへのお礼の考え方
長期入院の末に亡くなった場合、医師や看護師・スタッフへの感謝の気持ちを伝えたいと思う遺族は多いです。 「お礼をしなければいけないのか?」と気になる方も少なくありません。
基本的に、病院スタッフへの金銭的なお礼は不要です。 医療行為は本来の業務であり、謝礼を受け取らないよう規定している病院も多いです。 お気持ちを伝えたい場合は、退院時に「お世話になりました」と口頭で丁寧に挨拶するだけで十分です。
どうしても何か渡したい場合は、個包装のお菓子など、スタッフ全員で分けられる小さな菓子折りが一般的に喜ばれます。 のし紙は不要で、素直な気持ちを添えた言葉で十分です。
夜中・深夜に亡くなった場合の対応

ご家族が深夜や早朝に亡くなるケースも珍しくありません。 「こんな時間に連絡していいのか」と躊躇してしまう遺族も多いですが、実際にはほとんどの葬儀社が夜中でも対応しています。
深夜でも葬儀社は対応可能
ほとんどの葬儀社は24時間365日、深夜・早朝を問わず対応しています。 病院の霊安室での安置時間には限りがあるため、深夜であっても遠慮せずに連絡しましょう。
特に都市部の葬儀社は、夜中の搬送依頼に慣れているスタッフが常駐しており、電話一本で素早く対応してくれます。 地方であっても、事前に確認しておけば夜中の対応が可能な葬儀社を選ぶことができます。
深夜搬送時の注意点と割増料金
深夜・早朝の搬送には、通常の搬送料金に加えて「深夜割増料金」が発生することがあります。 割増が適用される時間帯は葬儀社によって異なりますが、一般的に午後10時〜翌午前6時の間が対象となることが多いです。
割増率は通常料金の20〜30%増しが相場ですが、葬儀社によって異なります。 深夜に連絡する際は、割増料金がいくらになるかを必ず事前に確認してから依頼するようにしましょう。
また、深夜搬送では病院の職員数が少ないため、手続きに時間がかかることもあります。 担当の看護師や夜間当直のスタッフと連携しながら、落ち着いて対応しましょう。
翌朝までに行うこと
深夜に亡くなった場合、翌朝までに以下のことを進めておくと、その後の手続きがスムーズになります。
- 近親者への連絡(深夜でも緊急の場合は連絡する)
- 葬儀社への連絡と搬送依頼
- 死亡診断書の受け取り
- 安置場所の決定と搬送
「夜が明けてから動けばいい」と考えると、霊安室の滞在時間を超えてしまう可能性があります。 可能な範囲で深夜のうちに動き出し、翌朝には状況を整えておくことが大切です。
病院紹介の葬儀社を利用する際の注意点

病院で亡くなった場合、病院側から提携葬儀社を紹介されるケースがよくあります。 こうした紹介をそのまま受け入れてよいのか、迷う遺族も多いです。 ここでは、病院紹介の葬儀社を利用する際のポイントを解説します。
病院紹介の葬儀社の特徴
病院と提携している葬儀社は、病院からの搬送依頼に慣れており、迅速に対応できるのが最大のメリットです。 急を要する場面で、スピーディーに動いてもらえる点は心強いといえます。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 病院との提携があるため、料金が割高になることがある
- 遺族が複数社を比較検討できないまま契約してしまいがち
- 葬儀の内容や品質が必ずしも最高水準とは限らない
病院紹介の葬儀社が悪いわけではありませんが、内容と費用を確認したうえで判断することが大切です。
断ることは失礼にあたらない
「病院が紹介してくれた葬儀社を断ったら失礼になるのでは?」と心配する方も多いですが、断ることは全く失礼にあたりません。 病院は遺族の利便性を考えて紹介しているだけであり、強制力は一切ありません。
「すでに依頼する葬儀社が決まっています」と伝えるだけで、病院側もスムーズに対応してくれます。 もし決まっていない場合でも、「少し検討させてください」と伝えることは問題ありません。 遠慮や気遣いから葬儀社を選んでしまうと、後悔につながることがあります。
搬送のみ依頼して葬儀社を選び直す方法
急いで搬送が必要な場合、病院紹介の葬儀社に「搬送のみ」を依頼し、葬儀は別の葬儀社に依頼するという選択肢もあります。
搬送のみを依頼する際は、以下の点を明確に伝えましょう。
- 「搬送のみの依頼です」とはっきり伝える
- 葬儀の依頼は別途検討することを告げる
- 搬送料金の見積もりを事前に確認する
安置が完了した後は、複数の葬儀社を比較検討する時間ができます。 遺族が納得できる葬儀社を選ぶためにも、搬送と葬儀を切り分けて考えるのは有効な方法です。
葬儀までに行う準備と手続き

遺体の安置が完了したら、葬儀に向けた準備と手続きを並行して進めます。 やるべきことは多岐にわたりますが、葬儀社のサポートを受けながら一つひとつ進めていきましょう。
死亡届と火葬許可証の提出
死亡届は、死亡を知った日から7日以内に市区町村の役所へ提出する義務があります(国外で亡くなった場合は、死亡の事実を知った日から3カ月以内)。 死亡届には、死亡診断書と同じ用紙に「死亡届」の記入欄があります。 必要事項を記入して、役所の窓口に提出しましょう。
死亡届を提出すると同時に、火葬を行うために必要な「火葬許可証」が役所から交付されます。 火葬許可証がなければ火葬を行うことができないため、提出を忘れないようにしましょう。
なお、提出期限の7日以内を守らない場合、戸籍法第137条により5万円以下の過料が科される可能性があります。 実際には葬儀・告別式が行われる前に提出が必要になるため、できるだけ早めに手続きを進めてください。 死亡届の提出は、葬儀社が代行してくれるケースも多いため、葬儀社に相談してみると手間が省けます。
葬儀社との打ち合わせ
遺体の安置が完了したら、葬儀を担当する葬儀社と詳細な打ち合わせを行います。 主に以下の内容を決定します。
- 葬儀の形式(一般葬・家族葬・一日葬・直葬など)
- 葬儀の日程・場所(斎場・式場)
- 参列者の人数の見込み
- 祭壇・棺・花などの仕様
- 費用の見積もり確認
費用の見積もりは、内訳を細かく確認することが重要です。 「一式〇〇円」とまとめて提示された場合は、内訳の明細を必ず出してもらいましょう。 追加費用が発生しないかどうかも、この段階で確認しておきます。
枕飾りと安置中の対応
遺体を安置した後は、故人の枕元に「枕飾り(まくらかざり)」を設置します。 枕飾りとは、遺体の枕元に仏具やお供え物を飾る簡易的な祭壇のことで、弔問客が線香を手向ける場としての役割もあります。
一般的に必要なものは以下のとおりです。
- 白木の台(小机)
- 香炉・線香
- 燭台・ろうそく
- 花立て(しきみなど)
- 枕飯・枕団子(宗派によって異なる)
枕飾りは葬儀社が準備・設置してくれるのが一般的ですが、宗派や地域によって飾り方が異なるため、疑問があれば菩提寺や葬儀社に確認しましょう。
安置中は、遺体が傷まないようドライアイスを適切に使用し、室温をできるだけ低く保つことが重要です。
訃報連絡の進め方
葬儀の日程・場所が決まったら、改めて関係各所に訃報を連絡します。 連絡する優先順位の目安は以下のとおりです。
- 親族(まだ連絡していない方)
- 故人の親しかった友人・知人
- 勤務先・仕事関係者
- 近隣の方・所属していた団体・グループ
連絡の際に伝える内容は、故人の氏名・死亡日時・喪主の氏名と連絡先・通夜と葬儀の日時と場所です。 家族葬など規模を限定する場合は、参列をお断りする旨を明確に伝えることで後のトラブルを防げます。 連絡はできるだけ電話で行い、メールやSNSは補足として使うのが基本です。
死亡後に必要な行政手続き

葬儀が終わった後も、行政機関への届け出や各種解約手続きが多数残っています。 期限のあるものもあるため、優先順位をつけて早めに進めましょう。
年金・健康保険の手続き
故人が年金を受給していた場合、「年金受給権者死亡届」を年金事務所または市区町村窓口に提出する必要があります。 ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は、原則として届出は不要です(自治体への死亡届が受理されると、年金機構に自動的に情報が連携されます)。
マイナンバーが収録されていない場合の届出期限は、年金の種類によって異なります。
| 年金の種類 | 届出期限 |
|---|---|
| 厚生年金 | 死亡後10日以内 |
| 国民年金 | 死亡後14日以内 |
届出が必要かどうかは加入状況によって異なるため、不明な場合はまず年金事務所に問い合わせるのが確実です。 なお、マイナンバーが収録されている場合でも、未支給年金の請求や遺族年金の申請は別途手続きが必要になりますので、注意してください。
健康保険についても、加入していた制度によって届出期限が異なります。
| 加入保険の種類 | 届出期限 | 手続き先 |
|---|---|---|
| 社会保険(会社員) | 死亡後5日以内 | 勤務先を通じて年金機構へ |
| 国民健康保険 | 死亡後14日以内 | 市区町村の窓口 |
| 後期高齢者医療制度 | 死亡後14日以内 | 市区町村の窓口 |
社会保険(協会けんぽ・組合健保)の場合は、期限が死亡後5日以内と非常に短いため、勤務先に早めに連絡することが重要です。
高額療養費の払い戻し申請
入院期間が長く医療費が高額になった場合、「高額療養費制度」による払い戻しを受けられる可能性があります。 申請期限は、診療を受けた月の翌月1日から2年以内(消滅時効)です。
高額療養費制度では、1カ月の医療費の自己負担が一定額(所得によって異なる)を超えた場合、超えた分が払い戻されます。 亡くなった後でも、相続人が申請することで払い戻しを受けられます。
申請先は加入していた健康保険の種類によって異なります。
| 加入保険の種類 | 申請先 |
|---|---|
| 国民健康保険 | 市区町村の窓口 |
| 協会けんぽ(会社員) | 全国健康保険協会の各支部 |
| 組合健保 | 各健康保険組合 |
| 後期高齢者医療制度 | 市区町村の窓口 |
領収書は必ず保管しておき、申請期限を過ぎる前に手続きを完了させましょう。
故人名義の契約解約
故人名義のさまざまな契約も、順次解約・名義変更の手続きが必要です。 主な手続き対象は以下のとおりです。
- 銀行口座(凍結の解除と相続・解約)
- クレジットカードの解約
- 携帯電話・スマートフォンの解約
- 公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更または解約
- 各種保険(生命保険・損害保険)の請求・解約
- 不動産の名義変更(相続登記)
銀行口座は、死亡が確認された時点で凍結されます。 解約・相続の手続きには戸籍謄本・遺産分割協議書・相続人全員の実印などが必要になるため、早めに書類をそろえ始めることをおすすめします。
病院で亡くなったときによくある質問

自宅安置ができない場合は
マンションの管理規約・住宅の広さ・家族の事情などで、自宅への安置が難しいケースもあります。 その場合は、葬儀社の安置施設または民間の安置所を利用するのが一般的な方法です。
葬儀社に事情を説明すれば、適切な安置施設を案内してもらえます。 費用は1日あたり数千円〜1万円程度が目安です。 「自宅に安置しなければならない」という決まりは一切ありませんので、状況に応じて最善の選択をしましょう。
菩提寺がわからない場合は
「菩提寺がどこかわからない」「そもそも菩提寺があるかどうかわからない」という方も少なくありません。 その場合は、まず故人の遺品や仏壇・お墓まわりの書類を確認してみましょう。 お寺の名前が書かれた手紙やお布施の記録、檀家証明書などが見つかることがあります。
それでもわからない場合は、葬儀社に相談すると宗派に合った寺院を紹介してもらえます。 菩提寺がなくても葬儀を行うことは可能ですので、焦らず葬儀社に相談しましょう。
遠方の病院で亡くなったら
故人が遠方の病院で亡くなった場合、遺族が現地に向かうか、現地の葬儀社に搬送を依頼することになります。
まず、現地の葬儀社に搬送を依頼し、最終的な葬儀を行う場所(地元)まで運んでもらうのが一般的な方法です。 長距離搬送には相応の費用がかかりますが、現地での手続きをすべて遺族が行う負担を考えると、葬儀社への依頼が現実的です。
長距離搬送の目安費用はルートや距離によって大きく異なりますが、50kmを超える場合は数万円〜十数万円の費用が発生することも珍しくありません。 現地と地元、両方の葬儀社に見積もりを取り、最もスムーズで費用面でも納得できる方法を選ぶことをおすすめします。
葬儀のご相談は株式会社セレブへ

病院で大切なご家族が亡くなった後は、悲しみの中でも数多くの手続きや判断が求められます。 「何から始めればいいかわからない」「信頼できる葬儀社に任せたい」とお感じの方は、ぜひ株式会社セレブにご相談ください。
株式会社セレブは、葬儀に関するあらゆるサポートを提供しています。 遺体搬送・安置のご手配から、葬儀の日程調整・各種手続きのサポートまで、経験豊富なスタッフが丁寧に対応いたします。
突然のことで準備が整っていなくても大丈夫です。 深夜・早朝を問わず、いつでもご連絡をお待ちしております。
はじめての方でも安心してご利用いただけるよう、わかりやすいご説明と誠実な対応を心がけております。 どんな小さなご不安でも、まずはお気軽にお声がけください。
まとめ

この記事では、病院でご家族が亡くなった直後から葬儀の準備・行政手続きに至るまでの流れを、時系列に沿って解説しました。
改めて全体の流れを整理すると、以下のとおりです。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 臨終直後 | 死亡確認・末期の水・エンゼルケア・霊安室へ移動 |
| 病院にいる間 | 近親者への連絡・葬儀社の手配・死亡診断書の受け取り・退院手続き |
| 搬送・安置後 | 枕飾りの設置・菩提寺への連絡・訃報の連絡・葬儀社との打ち合わせ |
| 葬儀前後 | 死亡届(7日以内)・火葬許可証の提出・葬儀の実施 |
| 葬儀後 | 年金・健康保険の手続き・高額療養費の申請・各種契約の解約 |
最も大切なのは、一人で抱え込まないことです。 葬儀社のスタッフや専門家のサポートを積極的に活用しながら、ご家族が納得できる形で大切な人を見送ってください。 この記事が、いざというときの一助となれば幸いです。





