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おはぎとぼた餅の違いとは?名前の由来と意味

お彼岸が近づくと、和菓子屋さんやスーパーの店先にあんこの菓子が並びます。春には「ぼた餅」、秋には「おはぎ」。同じものに見えるのに、なぜ呼び名が違うのでしょうか。

実はこの二つ、季節によって呼び分けられているだけで、もとは同じ菓子です。ただ、その呼び分けの背景には、日本人が季節をどう感じ、先立った方をどう想ってきたかが、しっかりと刻まれています。

この記事では、おはぎとぼた餅の違いを整理しながら、なぜこの菓子がお彼岸に供えられてきたのか、そこに込められてきた気持ちまでをたどっていきます。

監修者 三須 榮光 株式会社セレブ 代表取締役
株式会社セレブ 代表取締役 三須 榮光

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おはぎとぼた餅は何が違う?

よく挙げられる違いは、次の5つです。ただし、いずれも地域やご家庭によって考え方が異なりますので、「一般にはこう言われている」という程度に受け取っていただくのがよいかもしれません。

違い①|食べる季節

最も広く知られているのが、季節による呼び分けです。

  • 春のお彼岸 → ぼた餅
  • 秋のお彼岸 → おはぎ

同じ小豆餡の菓子を、春と秋で呼び名を変える。これがおはぎとぼた餅の最も基本的な違いとされています。

違い②|名前の由来となった花

なぜ季節で呼び名が変わるのか。その答えは、名前の由来にあります。

ぼた餅は、春に咲く牡丹(ぼたん)の花から。大きく丸く、どっしりとした牡丹の花に見立てて、「牡丹餅(ぼたんもち)」と呼ばれたものが「ぼたもち」になったといわれます。

おはぎは、秋に咲く萩(はぎ)の花から。小さな粒の花が枝に連なる萩の姿を、粒あんの表面に見立てたものとされます。「お萩」と丁寧に呼ばれてきたところに、この菓子が日常のおやつではなく、供え物としての位置づけを持っていたことがうかがえます。

同じ菓子を、春は牡丹に、秋は萩に見立てる。この見立ての感覚こそが、おはぎとぼた餅を分けてきたものの正体です。

違い③|あんこの種類

あんこの違いで呼び分けるという説もあります。

  • ぼた餅 → こしあん
  • おはぎ → 粒あん

この違いには、小豆の収穫時期という現実的な理由があるとされています。小豆は秋に収穫されます。採れたての新豆は皮がやわらかく、粒のまま炊いてもおいしくいただける。だから秋のおはぎは粒あん。

一方、春まで保存された小豆は皮が硬くなります。そこで皮を取り除いて、こしあんに仕立てる。だから春のぼた餅はこしあん、というわけです。

牡丹と萩という風雅な見立ての裏に、こうした台所の実情があったと知ると、この呼び分けがぐっと身近に感じられます。

違い④|形状

形で分けるという見方もあります。

  • ぼた餅 → 牡丹の花のように、大きく丸い形
  • おはぎ → 萩の花のように、やや小ぶりで俵型

これも花の見立てをそのまま形に反映したものです。

違い⑤|米のつき具合

もう一つ、少し変わった呼び分けがあります。もち米のつき具合による違いです。

米粒が残る程度に軽くついたものを「半殺し」、餅のようになるまで完全についたものを「皆殺し(全殺し)」と呼び、前者をおはぎ、後者をぼた餅とする地域があります。

言葉としては物々しいのですが、これは台所仕事の中で生まれた率直な表現です。米を「殺す」とは、粒の形をなくすということ。日々の手仕事から自然に出てきた言い方なのでしょう。

実はどちらも同じもの

こうして5つの違いを並べてきましたが、材料も作り方も、本質的には同じです。もち米を炊いてつき、小豆餡で包む。おはぎとぼた餅は、同じ菓子に季節の名を与えたもの、と考えるのが最も実態に近いでしょう。

日本には、同じものに季節ごとの名を与える文化が数多くあります。おはぎとぼた餅も、その一つなのです。

夏と冬にも呼び名がある

さらに面白いのは、この菓子には夏と冬の呼び名まであるということです。

夏は「夜船(よふね)」、冬は「北窓(きたまど)」と呼ばれます。

由来は、いずれも言葉遊びです。この菓子は餅のように強くつく必要がないため、餅つきの音がしません。つまり「いつ搗(つ)いたか分からない」。

そこから、「搗き知らず」→「着き知らず」と転じて、夜の船はいつ港に着いたか分からないから「夜船」。もう一つは「搗き知らず」→「月知らず」と転じて、北向きの窓からは月が見えないから「北窓」。

牡丹、萩、夜の船、北の窓。一つの菓子に四季それぞれの名を与え、しかもそのうち二つは言葉遊びで仕立てる。なんとも風流な遊び心ではないでしょうか。

現代ではこの四季の呼び分けはほとんど使われなくなり、通年「おはぎ」と呼ぶ場面が増えています。とはいえ、こうした名前が残っていること自体が、この菓子が長く日本人の暮らしに寄り添ってきた証だといえます。

おはぎ・ぼた餅の別名に見える昔の暮らし

先に触れた「半殺し」「皆殺し」のほかにも、この菓子には地域ごとにさまざまな呼び名があります。もち米とうるち米の割合、あんこの種類、包み方の違いによって、同じ土地の中でも呼び方が分かれていることも珍しくありません。

きな粉をまとわせたもの、ごまをまとわせたもの、あんこを内側に入れて米で包んだもの、逆にあんこで米を包んだもの。東北ではずんだを使うところもあります。

決まった正解がないということは、それぞれの家がそれぞれの作り方を持っていたということです。あなたのご実家では、どんなおはぎが作られていたでしょうか。

地域による呼び方の違い

関東では季節で呼び分ける習慣が残る

関東では、春はぼた餅、秋はおはぎと季節で呼び分ける習慣が比較的残っているといわれます。とはいえ、これも世代や家庭によってまちまちです。

関西では通年「おはぎ」と呼ぶ傾向

一方、関西では季節を問わず「おはぎ」と呼ぶ傾向が強いとされます。関西以外の地域でも、通年おはぎと呼ぶところは少なくありません。

ご家庭ごとの呼び方も

最近は市販品が「おはぎ」の名で通年売られていることもあり、呼び分けの習慣は薄れつつあります。ただ、どちらの呼び方が正しいというものでもありません。ご家庭で昔から使ってきた呼び方が、そのご家庭の正解です。

そもそも「お彼岸」とは

春分・秋分を中日とした7日間

お彼岸は、春分の日と秋分の日をそれぞれ中日として、その前後3日間を合わせた7日間を指します。年に2回、春と秋に訪れます。

初日を「彼岸の入り」、最終日を「彼岸明け」と呼びます。

あの世とこの世が最も近づく時期

春分と秋分は、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ等しくなる日です。

仏教では、西方に極楽浄土があるとされています。太陽が真西に沈むこの日は、あの世(彼岸)とこの世(此岸)が最も近づく時期と考えられ、先立った方を供養するのにふさわしい期間とされてきました。お彼岸にお墓参りをする習慣は、この考え方から生まれたものです。

2026年・2027年のお彼岸はいつ?

  • 2026年 秋のお彼岸:9月20日(日)〜9月26日(土)/中日は9月23日(水)
  • 2027年 春のお彼岸:3月18日(木)〜3月24日(水)/中日は3月21日(日)
  • 2027年 秋のお彼岸:9月20日(月)〜9月26日(日)/中日は9月23日(木)

春分の日・秋分の日は天文学的な計算によって決まるため、年によって日付が動きます。

お彼岸におはぎ・ぼた餅を供える意味

では、なぜこの菓子がお彼岸の供え物として定着したのでしょうか。理由はいくつか重なっています。

理由①|小豆の赤い色による邪気払い

小豆の赤い色には邪気を払う力があると、古くから考えられてきました。赤飯やお祝いの席の赤い豆にも、同じ発想があります。

先立った方を供養する場に、その赤い小豆を使った菓子を供えることで、災いを遠ざけ、故人が安らかであるようにと願ったのです。

理由②|貴重だった砂糖と米を使った、最上のもてなし

これが、おはぎを供える意味の核心かもしれません。

かつて砂糖は大変な貴重品でした。もち米もまた、日常の食事に気軽に使えるものではありませんでした。その二つを惜しまず使って作るあんこの菓子は、当時の人々にとって、まさに「最上のもの」だったのです。

普段は口にできないほど贅沢なものを、自分たちで食べるのではなく、まず仏前に供える。そこにあったのは、「一番いいものを、あの人に食べてもらいたい」という気持ちです。

おはぎが供え物として選ばれてきたのは、縁起がよいからというだけではありません。手に入る中で最も贅沢なものだったから。それが本当の理由なのでしょう。

理由③|もち米に込められた縁起

もち米には、粘り気があることから「ご先祖様と心を結ぶ」「縁を結ぶ」という縁起を見る考え方もあります。

お供えの作法と「お下がり」の考え方

作法については、地域や宗派、ご家庭によって考え方がかなり異なります。以下は一般的な目安としてご参考にしてください。

いつ供えるか

お彼岸の期間中であればいつでも構いませんが、中日にあわせて供えるご家庭が多いようです。お墓参りにあわせて供える場合もあります。

供え方の基本

お皿に懐紙を敷いて、その上におはぎを載せます。数に厳密な決まりはありませんが、奇数にすることが多いようです。

向きは、故人から見て正面になるように、つまりこちら側から見ると裏向きになるように置きます。ご先祖様に召し上がっていただくものですから、という考え方です。

供えた後は「お下がり」としていただく

供えたおはぎは、いつまでも置いておくものではありません。生菓子ですから、その日のうちに下げていただくのが基本です。

そして下げたものは、家族でいただきます。これを「お下がり」といいます。

大切なのは、これが「残り物を処理する」という意味ではないということです。ご先祖様に供えたものを分けていただくことで、その恩恵をいただく。食べることそれ自体が供養になるという考え方です。

仏壇の前で手を合わせ、その後に家族でおはぎを食べる。この一連の流れが、お彼岸の過ごし方として受け継がれてきました。

おはぎ・ぼた餅の簡単な作り方

市販品を供えても、もちろん構いません。ただ、手作りしてみると気持ちの入り方が少し変わるものです。炊飯器を使えば、それほど手間はかかりません。

材料(8個分程度)

  • もち米 1.5合/うるち米 0.5合
  • 水(普通の水加減より少なめに)
  • あんこ 300g程度
  • きな粉、ごまなど(お好みで)

作り方

  1. もち米とうるち米を合わせて洗い、30分ほど浸水させます
  2. 水を少なめにして炊飯器で炊きます
  3. 炊けたら、しゃもじやすりこぎで米粒が半分ほど残る程度につきます(これが「半殺し」です)
  4. 手を水で湿らせ、米を8等分して丸めます
  5. あんこを広げて米を包むか、米であんこを包みます。きな粉やごまをまとわせても

もち米だけで作るとより餅らしく、うるち米を混ぜると軽い食感になります。ご家庭の好みで調整してください。

お彼岸に供える、おはぎ以外の食べ物

お彼岸の供え物は、おはぎだけではありません。

  • 彼岸団子:白い団子を積み上げて供えます
  • 精進料理:肉や魚を使わない料理
  • 季節の果物:梨、ぶどう、柿など
  • 落雁:日持ちするため供え物によく使われます
  • 赤飯・小豆めし:小豆の赤い色にあやかったもの
  • 彼岸そば・彼岸うどん
  • いなり寿司・五目寿司
  • 煮物(煮しめ)

そして忘れてはならないのが、故人が好きだったものです。

これは決まった作法ではありませんが、実際には最も多く選ばれている供え物かもしれません。好きだったお菓子、よく飲んでいたお茶、季節になると必ず口にしていた果物。そういうものを供えるご家庭はたくさんあります。

一番のお供えは、その人を思い出すこと

ここまで、おはぎとぼた餅の違いや作法についてお伝えしてきました。けれど最後に、一つだけ申し上げたいことがあります。

おはぎを供えるという行為の本質は、菓子そのものにあるのではありません。

かつて人々がお彼岸におはぎを供えたのは、それが手に入る中で一番いいものだったからです。つまり、この習わしのもとにあったのは「一番いいものを、あの人に」という気持ちでした。作法や決まりごとは、その気持ちを形にするために後からできた器なのです。

だから、向きが違っていても、数が偶数でも、市販のものでも構いません。もっと言えば、おはぎでなくてもいいのかもしれません。

大切なのは、仏壇の前に座る少しの時間です。

祖母が作ってくれたおはぎの、少し塩気のあるあんこの味。家族で仏壇の前に並んで、順番に手を合わせたあの日の光景。おはぎを前にすると、そういう記憶がふとよみがえってくることがあります。

その記憶をたどる時間こそが、いちばんの供養なのだと思います。おはぎは、そのきっかけをくれる菓子なのです。

まとめ

おはぎとぼた餅の違いは、春の牡丹と秋の萩という季節の見立てによる呼び分けです。あんこの種類や形、米のつき具合で分ける考え方もありますが、材料も作り方も本質的には同じもの。夏は「夜船」、冬は「北窓」と呼ばれることもあり、日本人がこの菓子をいかに愛おしんできたかが呼び名の数に表れています。

そしてこの菓子がお彼岸の供え物として選ばれてきたのは、砂糖と米という貴重なものを惜しまず使った、当時の「一番いいもの」だったからでした。その根っこにあるのは、先立った方を大切に思う気持ちです。

今年のお彼岸には、おはぎを前に、どなたかのことを思い出す時間をとってみてはいかがでしょうか。

大切な方を想う時間に、寄り添います

お彼岸は、先立った方に手を合わせる季節です。お墓参りに行かれる方も、ご事情があって行けずにいる方も、この時期になると自然とどなたかの顔を思い出されるのではないでしょうか。

セレブ葬儀社では、法要やご供養についてのご相談、そしてご自身のこれからについてのご相談を承っています。何かを決めていただく必要はありません。お話をお聞かせいただくだけでも構いません。大切な方を想うこの季節に、気になることがございましたら、どうぞお気軽にお声かけください。

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