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生前整理の進め方を解説|葬儀社が伝えたいこと

「そろそろ身の回りを片づけておいたほうがいいかもしれない」。60代、70代を迎えて、そう感じ始めた方は少なくないのではないでしょうか。生前整理と聞くと、押し入れの荷物を減らしたり、通帳や保険証券をまとめたりといった作業を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろんそれも大切な生前整理です。

けれど、葬儀の現場に立ち会う私たちがいつも感じるのは、残されたご家族が最も短い時間で、最も重い判断を迫られるのは「葬儀をどうするか」だということです。この記事では、生前整理の基本的な進め方を5つのステップでご紹介しながら、見落とされがちな「自分の葬儀について決めておく」という整理についても、葬儀社の視点からお伝えします。

監修者 三須 榮光 株式会社セレブ 代表取締役
株式会社セレブ 代表取締役 三須 榮光

葬儀社歴 30年
千葉県を中心に感謝を伝える最期のお別れのお手伝いをしています

保有資格

  • 厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
  • 海洋散骨アドバイザー
  • Happy Ending Planner
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所属団体

  • 船橋東ロータリークラブ 第47代会長
  • 船橋商工会議所青年部 第20代会長
  • 千葉県商工会議所青年部連合会 第30代会長
  • YEG葬祭部会 初代会長
  • 公益社団法人船橋法人会 Bブロック長
  • 公益社団法人船橋青年会議所 監事
  • 公益社団法人船橋青年会議所OB会 総事務局長
  • 公益社団法人日本青年会議所冠婚葬祭部会 顧問
  • JAPAN JUNIOR MANEGMENT 第10代会長

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生前整理とは

生前整理とは、自分が元気なうちに、持ち物や財産、そして自分の希望を整理しておくことをいいます。目的は大きく二つあります。一つは、自分自身の暮らしをすっきりと整えること。もう一つは、いつか自分がこの世を去ったとき、残された家族が困らないようにしておくことです。

遺品整理との違い

遺品整理は、亡くなった方の持ち物をご家族が片づけることを指します。つまり、行う人が「本人」か「遺族」かという点が大きな違いです。

遺品整理では、ご家族は「これは残すべきものなのか」「捨ててしまってよいのか」と、故人の気持ちを推し量りながら判断しなければなりません。それが精神的にも時間的にも大きな負担になります。生前整理は、その判断を本人が元気なうちに済ませておく取り組みだといえます。

老前整理との違い

老前整理は、年齢を重ねて体力が落ちる前に、暮らしを身軽にしておくための片づけです。階段に置いた荷物をなくして転倒を防ぐ、使わない家具を処分して動きやすくするなど、「これからの自分の暮らしを快適にする」ことが主な目的です。

一方の生前整理は、そこに「家族に遺すことを見据える」という視点が加わります。実際には両者は重なる部分も多く、厳密に分けて考える必要はありません。

生前整理で整理するものは大きく3つ

生前整理の対象は、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

  1. :衣類、家具、書籍、写真、思い出の品など
  2. 財産:預貯金、不動産、有価証券、保険、負債など
  3. 想い:家族へのメッセージ、葬儀やお墓の希望、医療や介護の希望など

このうち「物」と「財産」は多くの記事で語られますが、3つ目の「想い」の整理は後回しにされがちです。実はここが、ご家族にとって最も助けになる部分でもあります。

生前整理を行うメリット

残された家族の負担を大きく減らせる

ご家族は、大切な方を亡くした直後という最もつらい時期に、膨大な手続きと判断に向き合うことになります。遺品の片づけ、各種の名義変更、相続の手続き、そして葬儀の準備。何がどこにあるか分からない状態からこれらを進めるのは、想像以上に大変です。生前整理をしておくことは、その負担を減らす何よりの手立てになります。

相続をめぐるトラブルを未然に防げる

相続をめぐる話し合いがこじれる原因の一つに、「どこにどれだけの財産があるのか分からない」という状況があります。財産の全体像がはっきりしていれば、余計な疑心暗鬼が生まれにくくなります。生前整理で財産目録を作り、必要に応じて遺言書を用意しておくことは、ご家族の関係を守ることにもつながります。

自分自身の暮らしと気持ちが整う

長く使っていないものを手放すと、住まいが広く感じられ、日々の暮らしが動きやすくなります。転倒などのリスクを減らすという実利もあります。そして何より、「やるべきことを済ませた」という安心感が得られます。

これからの人生をどう過ごすかが見えてくる

持ち物を一つひとつ手に取ると、自然とこれまでの人生を振り返ることになります。何を大切にしてきたのか、誰に支えられてきたのか。そうした振り返りは、これからの時間をどう過ごしたいかを考えるきっかけにもなります。生前整理は、終わりに向けた作業というより、残りの時間を見つめ直す作業だといえるかもしれません。

生前整理を始めるタイミング

思い立ったときが最適な時期

生前整理に「早すぎる」ということはありません。体力があり、判断力もはっきりしているうちのほうが、作業ははるかにスムーズに進みます。「まだ元気だから」と先送りにしているうちに、体調を崩して手がつけられなくなってしまうケースは少なくありません。気になった今が、始めどきです。

定年退職を迎えたとき

仕事関係の書類や道具を整理する必要が出てくるうえ、時間の余裕も生まれます。生活が一区切りつくこの時期は、身の回り全体を見直す良い機会です。

子どもが独立したとき

子ども部屋に残された荷物や、家族が増えた頃に揃えた家財を見直すタイミングです。お子さんに「これはいる?」と確認しながら進められるのも利点です。

親の介護や見送りを経験したとき

ご自身が親御さんの遺品整理や葬儀を経験すると、「何が大変だったか」が実感として分かります。その記憶が新しいうちに取りかかると、自分の家族に同じ思いをさせないための準備が具体的に進みます。

生前整理の進め方【5ステップ】

生前整理は、次の5つのステップで進めると迷いにくくなります。上から順に、比較的取りかかりやすいものから並んでいます。

ステップ1|物の整理

まずは目に見える持ち物からです。ポイントは、いきなり「捨てる・捨てない」の二択で考えないことです。次の3つに分けてみてください。

  • 残すもの:今も使っている、これからも使う
  • 手放すもの:何年も使っていない、今後使う予定がない
  • 保留するもの:思い入れがあって決めきれない

判断に迷ったものを無理に決めようとすると、そこで手が止まってしまいます。「保留」の箱を用意しておき、迷ったら入れて先に進みましょう。時間を置いて見直すと、案外すんなり決められるものです。

手放すものの中に、まだ十分使えるものがあれば、リサイクル業者や買取業者に相談する方法もあります。写真や手紙などの思い出の品は、すべて残そうとすると量が膨らみます。データ化して残す、特に大切なものだけをアルバムにまとめるといった工夫が有効です。

ステップ2|財産の整理

次に、お金や財産に関わるものを整理します。ここでの目標は「財産目録」を作ることです。財産目録とは、どこにどんな財産があるかを一覧にしたものです。決まった書式はなく、ノートやパソコンで作って構いません。

記載しておきたいのは、次のような項目です。

  • 預貯金(金融機関名、支店名、口座の種類)
  • 不動産(所在地、種類)
  • 有価証券(証券会社名、銘柄)
  • 生命保険・医療保険(保険会社名、証券番号)
  • 借入金やローンなどの負債

負債も必ず書いておいてください。プラスの財産だけを把握して相続手続きを進めた後で借金が判明すると、ご家族が対応に困ることになります。

あわせて、使っていない銀行口座やクレジットカードは解約しておきましょう。口座が多いほど、相続手続きで必要な書類も手間も増えていきます。年金手帳、保険証券、不動産の権利証といった重要書類は、一か所にまとめて保管し、その場所をご家族に伝えておくと安心です。

ステップ3|デジタルデータの整理

近年、ご遺族が特に困るのがデジタル関連です。スマートフォンやパソコンのロックが解除できず、中の連絡先も写真も取り出せない。有料サービスの契約が解約できず、引き落としが続いてしまう。こうした相談は年々増えています。

整理しておきたいのは次のようなものです。

  • スマートフォン・パソコンのロック解除方法
  • インターネットバンキングや証券口座などのネット上の資産
  • 有料のサブスクリプションサービスの契約状況
  • SNSアカウント(死後どうしてほしいかの希望も)

ただし、パスワードそのものをエンディングノートに書き込むのは、盗難や紛失を考えると危険です。「パスワードは○○にまとめてある」という保管場所だけを記し、信頼できるご家族に伝えておく形が現実的です。

ステップ4|エンディングノートの作成

エンディングノートは、自分に関する情報や希望を書き残しておくノートです。市販のものもありますし、普通のノートで構いません。書く内容に決まりはありませんが、一般的には次のようなことを記します。

  • 自分の基本情報(本籍、マイナンバーの保管場所など)
  • 財産や保険の情報
  • 医療や介護についての希望(延命治療の考え方など)
  • 葬儀やお墓についての希望
  • 連絡してほしい友人・知人のリスト
  • 家族へのメッセージ

エンディングノートには法的な効力はありません。財産を誰にどう遺すかを法的に定めたい場合は、次のステップの遺言書が必要になります。ただ、法的効力がないぶん自由に書けますし、いつでも書き直せます。まずは書けるところから埋めていけば十分です。

ステップ5|遺言書の作成

財産の分け方について明確な希望がある場合や、相続人同士で意見が分かれそうな事情がある場合は、遺言書を作成しておくと確実です。

遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は自分で書けて費用もかかりませんが、形式に不備があると無効になるおそれがあります。公正証書遺言は公証役場で作成するため費用と手間がかかるものの、形式面の心配がなく、原本が公証役場に保管されるため紛失の心配もありません。

なお、自筆証書遺言については法務局で保管してもらえる制度もあります。どの方式が適しているかは、財産の内容やご家族の状況によって変わります。判断に迷う場合は、弁護士や司法書士、税理士といった専門家に相談することをおすすめします。

葬儀社だからこそ伝えたい「自分の葬儀を決めておく」という生前整理

ここまでご紹介した5つのステップは、多くの生前整理の記事で語られる内容です。けれど葬儀の現場に立つ私たちが、それらと同じくらい大切だとお伝えしたいのが、「自分の葬儀について決めておく」という整理です。

遺族は「亡くなった直後」に多くの決断を迫られる

大切な方が亡くなると、ご家族はその日のうちに数多くの決断を迫られます。どの葬儀社に依頼するか。葬儀の形式はどうするか。どのくらいの規模で行うか。誰に訃報を知らせるか。予算はいくらまでか。

物の整理や相続の手続きには、ある程度の時間的猶予があります。しかし葬儀は違います。深い悲しみの中、ほとんど考える時間のないまま、次々に判断していかなければなりません。「これで本当によかったのだろうか」という迷いが、後々まで残ってしまうご家族も少なくないのです。

決めておきたいこと

ご本人の希望が分かっているだけで、ご家族の負担はまったく違ってきます。次のような項目を、エンディングノートなどに書き残しておかれると安心です。

  • 葬儀の形式:一般葬、家族葬、一日葬、直葬など
  • 葬儀の規模:何人くらいに参列してほしいか
  • 宗教・宗派:菩提寺があるか、その連絡先はどこか
  • お墓や納骨の希望:先祖代々の墓に入るか、新たに求めるか、樹木葬や納骨堂を希望するか
  • 訃報を知らせてほしい人:家族が把握していない友人・知人の連絡先
  • 遺影に使ってほしい写真:気に入っている一枚を選んでおく

特に菩提寺の有無は重要です。菩提寺があるにもかかわらず知らずに別の僧侶に読経を依頼してしまい、後で納骨を断られるといったトラブルは実際に起こっています。

遺影の写真も、意外に多い悩みです。急なことで手元に良い写真がなく、集合写真から無理に引き伸ばすことになるケースは珍しくありません。お元気なうちに一枚選んでおかれると、ご家族は迷わずに済みます。

葬儀費用の見通しも立てておける

葬儀の形式や規模を決めておくと、おおよその費用の見当もつきます。各種の調査では、葬儀にかかる費用の全国平均はおおむね100万円前後とされることが多いようですが、これは葬儀本体の費用に加えて飲食接待費やお布施などを含むかどうかで大きく変わります。また地域差も非常に大きく、平均額だけを目安にするのは危険です。

いずれにしても、実際にどのくらいかかるのかは、希望する形式と規模が決まって初めて見えてきます。あらかじめ見積もりを取っておけば、ご家族が費用面で戸惑うことも、予想外の出費に驚くこともなくなります。

希望は「伝わる形」で残す

大切なのは、希望を書き残すだけで終わらせないことです。エンディングノートを書いたものの、その存在をご家族が知らず、葬儀がすべて終わってから遺品の中から見つかった、ということが実際にあります。

書き残したら、必ず「こういうノートをここに置いてある」とご家族に伝えておいてください。さらに言えば、一度は元気なうちに、葬儀の希望について家族で話しておくことをおすすめします。切り出しにくい話題ではありますが、ご本人の口から聞いた言葉は、ノートの文字よりもずっと確かにご家族の心に残ります。

生前整理をスムーズに進めるコツ

一度にやろうとせず、小さな範囲から始める

「家中を片づける」と考えると腰が重くなります。今日は引き出し一段、今週は本棚一つ、といった小さな単位で区切りましょう。一気にやろうとして体力を消耗し、途中で投げ出してしまうのが最もよくないパターンです。

迷ったものは「保留箱」に入れて先に進む

前述のとおり、判断に迷うものは無理に決めず、保留箱へ。数か月後に見直すと、不思議と判断がつくようになっています。

家族と一緒に進める、または共有しながら進める

思い出の品の中には、ご本人にとっては不要でも、ご家族にとっては大切なものがあります。逆もまた然りです。可能であれば一緒に作業する、難しければ「こういうものを処分しようと思う」と伝えながら進めると、後の行き違いを防げます。

前向きな気持ちで取り組む

生前整理は「死の準備」ではなく、「これからを安心して過ごすための準備」です。暗い気持ちで取り組むと長続きしません。片づけながら昔話をする、終わったら家族で食事をする。そんなふうに、楽しみを混ぜながら進めていただければと思います。

生前整理は専門家に相談することもできる

生前整理は幅広い分野にまたがるため、すべてをご自身とご家族だけで抱え込む必要はありません。分野ごとに、頼れる専門家がいます。

物の整理は生前整理・遺品整理業者へ

量が多い、大型の家財がある、体力的に難しいといった場合は、生前整理業者に依頼できます。不用品の買取をあわせて行っている業者もあります。

相続や税金は税理士・弁護士へ

相続税がかかりそうな場合や、遺言書を確実な形で残したい場合は、税理士や弁護士、司法書士といった専門家の力を借りるのが安全です。

お墓や納骨は石材店・霊園へ

新たにお墓を求める場合、墓じまいを検討している場合、樹木葬や納骨堂を考えている場合は、石材店や霊園に相談するとよいでしょう。

葬儀のことは葬儀社へ

葬儀の形式や規模、費用については、私たち葬儀社にご相談ください。葬儀社は、ご本人やご家族と各分野の専門家との間に立つことの多い立場でもあります。お墓のこと、相続のこと、遺品整理のこと。ご相談の中でそうした話が出たときには、適切な相談先をご案内することもできます。全体を見渡しながら、どこから手をつければよいかを一緒に考えられるのが、葬儀社の役割だと考えています。

まとめ

生前整理は、物の整理から始まり、財産、デジタルデータ、エンディングノート、遺言書へと進めていくのが基本の流れです。一度にすべてを終わらせる必要はなく、取りかかれるところから少しずつ進めていけば十分です。

そして、そこにもう一つ加えていただきたいのが、ご自身の葬儀についての希望を決めておくことです。悲しみの中で多くの判断を迫られるご家族にとって、「本人がこう望んでいた」と分かっていることは、何よりの支えになります。生前整理は、自分自身のための準備であると同時に、残されるご家族への最後の贈り物でもあるのです。

まずは、話を聞いてみることから

「葬儀のことを考えるのは、まだ早い気がする」。そう感じられる方もいらっしゃると思います。それでも構いません。何かを決めていただく必要も、契約していただく必要もありません。

セレブ葬儀社では、生前整理の一環として葬儀を考え始めた方からのご相談を承っています。どんな形式があるのか、費用はどのくらいかかるのか、家族に何を伝えておけばよいのか。そうした疑問をお聞きいただくだけでも、これからの準備はぐっと進めやすくなります。会員登録いただいた方には、事前のお見積もりやご相談を通じて、ご希望に沿った準備をお手伝いしております。まずはお気軽にお問い合わせください。

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